『お電話いただければ即融資!借入利率2.8%で300万円まで即日振込。他社での借り入れにお困りな方もどうぞ』…みたいな雑誌広告って、最近ではめっきり見なくなりましたね。
たぶん7~8年くらい前までは、こういった広告がパチンコ雑誌などの裏表紙に必ずといっていいほど掲載されていたように思うんですが、今日の朝、コンビニで手当たり次第、確認してみたところ発見数はゼロ。
そのほとんどが出合い系の広告や、携帯ゲームの広告に変わってしまっていました。
- 過去の雑誌裏:お金を貸しますの広告ばかり
- 現在の雑誌裏:出合い系やスマホゲーム広告ばかり
今ではもう見ることはほとんどありません。
過去のキャッシング広告について:
広告主の正体は「紹介屋」:
ではあの低金利で即座にお金を貸してくれるローンって本当だったのか…というと、実はそのほとんどが『紹介屋』と呼ばれるものだったと言われています。
紹介屋の仕組みは単純。
新聞や雑誌に誰しも食いつくような魅力的な広告を掲載して見込み客を集め、実際にはお金を貸さずに他の消費者金融などを紹介するというものです。
流れとしてはこんな感じ。
- 低金利!即金といった魅力的な言葉を並べて雑誌広告を出す
- 広告を見た人が電話をしてくる
- 「申し訳ございません。審査した結果、当社ではお客さまへの融資はできません」と断った上で、「提携先の貸金業者であれば可能なので、紹介しましょうか?」と勧誘する
- 他社にて借入するためだとの理由で、一通り、個人情報を回収する
- 実際にお金を借りれた場合には、紹介料を要求する
彼らは「借りやすいキャッシング業者」を熟知していたからこそ、こういったビジネスが出来たのですね。
紹介屋の手数料はかなり高い:
ここまでを見ると、「借りられるところを探してくれるなんて、なんて助かるビジネスなんだ」と思われる方もいるかもしれませんが、紹介屋の落とし穴はその手数料がかなり高かった点。
だいたい1件あたり20万円~50万円の手数料を請求してくることが多かったようで、一時期はちょっとした社会問題にもなりました(依頼してしまった弱みや、紹介屋に自分の個人情報をすべて渡してしまった怖さなどから、お金を払ってしまう方も多かったようです)。
※郵便局のレターパックに現金を入れて郵送する手法が広まり始めたのはこの頃から。断言しますが「レターパックで現金を送れ」といってくる相手は100%、違法業者なので信用しないように!
紹介屋が雑誌広告から消えた理由:
ではなぜ、雑誌広告から「お金を貸します」といった広告が消えてしまったのか、この理由は大きくわけて2つほどあるように思います。
一つは広告内容について、広告を掲載した出版社の責任が問われるようになったため。
以前は広告がまったく虚りの偽広告だったとしても、出版社にその責任はないと判断されるケースが多かったようなんですが、パチンコ必勝法などの明らかに嘘の広告が問題になり、出版社側が「この広告掲載はマズい」と自主判断したんじゃないかと推測します。
これまで、新聞や雑誌といった媒体に掲載された広告の内容が虚偽であるとして、雑誌社などに対して賠償が命じられた例は1件あっただけで(東京地裁昭和60年6月27日判決)、多くの事例は負けていました。
(中略)
被告の広告代理店及び雑誌社は、真実性に疑問を抱くような事情がありながら広告について何らの調査・確認をしていないということで、賠償責任が認められました。ただ、残念ながら、賠償金については、5~7割の過失相殺がされてしまった。このような事件の被害者には同情の余地がないということであろうか。
私たちは、この判決をテコに、パチンコ攻略法の広告を掲載している他の雑誌社に対しても警告状を送付し、今後も掲載を継続するなら訴訟も辞さないといった姿勢で対峙していきたいと考えています。
貸金業法が強化されたことも影響:
2つ目は貸金業法の強化による影響ですね。
従来は個人経営の場合、300万円の資金さえあればほぼ誰でも貸金業者になることができていたんですが、これが貸金業法改正によって5,000万円の資本金&資格試験の受験が必要に…。
この影響で違法業者が貸金業者になること自体が、難しくなったこともありそうな感じです*1。
純資産が5,000万円以上の貸金業者でなければ、貸金業を営むことができなくなりました。
法令遵守のための助言・指導を行う貸金業務取扱主任者について、資格試験を導入し、合格者(主任者登録を受けた者)を営業所ごとに配置することが義務化されました。
ちなみにほんと冗談のように思われるかもしれませんが、昔は闇金の代名詞ともいえる090金融(携帯電話のみで受付をする金貸し)でも日本貸金業の協会員になることができていたくらい。
こんな感じでどの業者が健全で、どの業者が悪徳なのかがわかりにくい状況があったからこそ、雑誌広告に貸金業が多かった事情もあったのかもしれません。
今思うと怖い時代だったなーと思います。
違法広告の駆逐は歓迎したい流れ:
なんにせよ、雑誌からこの手の広告がなくなったのは業界的に一歩前進。
次は街角にあるクレジットカード現金化の広告や立て看板などの根絶を、クレジットカード&キャッシング業界にはお願いしたいところですね。
引き続きの改善に期待しましょう!
以上、パチンコ雑誌の裏によく載ってた、低金利&即融資ローンの広告がいつの間にか消えていた件。その正体はいわゆる「紹介屋」でした…という雑談でした。
参考リンク:
消費者金融と闇金の区別が付いていない…という方は、下記記事もあわせてどうぞ。
紹介屋ビジネス以外にも、世の中には怖い金貸しビジネスがたくさんあるので、事前にしっかり知識を付け、絶対に接点を持たないようにして貰えればと思います。
あとクレジットカード現金化はなぜ問題なのかも併せてお読みください。手数料の高さを考えると、仮に合法なビジネスだったとしても使う価値はありません。
*1:一応、雑誌の裏側にあった○万円を低金利で貸します!…という業者にも、貸金業の認可番号が掲載されていました(建前上、貸しますよ…という体裁を整えることが必要だった)。