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奨学金を延滞している50%近くが、お金を借りた時に『返済しなくてはいけないこと(返済義務)』を知らなかった統計データが存在する。

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奨学金を延滞している人の50%近くが、お金を借りる手続きを始めるタイミングで『返済義務があること』を理解していなかった。そんな驚きの統計データがあることを、みなさんはご存知でしたでしょうか?

それが独立行政法人 日本学生支援機構が行った下記の調査です。

調査目的等

(目的)奨学金の延滞者の属性を把握し、今後の奨学金回収方策に役立てることとする。

(調査対象)

  1. 平成24年10月末において、奨学金返還を3ヶ月以上延滞している者(以下「延滞者」という。)
  2. 平成24年10月末において、奨学金返還を延滞していない者(以下「無延滞者」という。)

奨学金の返済について:

延滞者の半数近くが、返済義務を知らなかった:

この中にある『奨学金の返済義務をいつ知ったか?』という質問事項がそれ。無延滞者と延滞者の比較数値を、まずはご覧ください。

奨学金の返済義務をいつ知ったか:
区分
延滞者
無延滞者
人数 割合 人数 割合
貸与手続きを行う前 2,073 54.7 2,240 90.6
貸与手続中 477 12.6 123 5.0
貸与中 219 5.8 48 1.9

貸与終了時

150 4.0 13 0.5
貸与終了後~返還開始前 174 4.6 20 0.8
返還開始~督促前 132 3.5 6 0.2
延滞督促を受けてから 308 8.1 4 0.2
わからない 224 5.9 17 0.7
その他 35 0.9 2 0.1
3,792 100.0 2,473 100.0

いやはや、驚きの数値ですよね。

無滞納者、つまり奨学金の返済を遅れたことがない方は90%以上が手続き前に『奨学金の返済義務を知っていた』と回答したのに対し、返済が遅れがちな延滞者はわずか55%弱

残りの45%は手続き中に認知したか、もしくは手続きが終了してから返済義務を理解したことがわかります。

  • 延滞者:約45%が手続き前に返済義務を知らなかった
  • 無延滞者:約90%が借りる前に返済義務を知っていた

特に返済開始後や、督促を受けてはじめてその事実をしった人が12%近くもいることに驚きを受けます。

返済できなくなるのも当然:

もう、こう冷たく書いてしまうのもアレなんですが、これほどまでに多くの延滞者が、『奨学金は返済しなくちゃいけないことを知らなかった』と回答していること自体がひどい状況ですよね。

そりゃ返済できず、延滞してしまうのも当たり前の話。

もちろん、奨学金を貸す側ももっと学生にしっかり説明しなくちゃいけないなどの問題がありますが、それ以上に借りる側にも『数百万という大金を借りて、大学や専門学校に通っているんだ』という自覚が私は必要だと思います。

  • お金を貸す側:返済義務があることを理解させるべき
  • お金を借りる側:きちんと中身を理解した上で借りるべき

まぁ「奨学金」という言葉のイメージから、勝手に「無料で貰えるお金」というイメージがあるのかも…ですけど、紙1枚で大金を貸してもらえるならともかく、複雑な書類を書いている時に返済義務の確認くらいはしてほしいもの。

借り手の意識が低いといわざるを得ません。

お金を貸す側を批判するのは簡単: 

ちなみに。

奨学金の議論になると、学生が返済不能になるほど貸す奨学金制度が悪いとか、奨学金で自己破産なんて馬鹿げている…なんて批判をしている方は多いのですが、個人的にもっと問題だな…と思うのは、お金を借りるということが人生においてどういうことなのか、18歳の時点で判断できるようなお金の教育がなされていないことのほう。

今日話題になっているこのあたりの記事を読むと、ほんとそう痛感します(10年で150万円程度を返済する予定だったが、9万円を返済しただけで返済不能になってしまった例)*1

高校、大学時代に借りた奨学金を返還できないとして、北九州市小倉北区のフリーターの男性(40)が福岡地裁小倉支部で自己破産の手続き開始決定を受けたことが分かった。

男性には延滞金を含めて約283万円の返還義務があるが、「奨学金のために消費者金融などで借金しても返せない。そもそも多額の金を貸してくれない」と説明。(中略)

男性は父親が事業に失敗した影響で、1990年の高校入学時から大学卒業まで日本学生支援機構から無利子の奨学金を借りた。高校時は毎月1万1千円、大学時は同4万1千円で、当初の返還期間は93年12月から2012年9月。多いときで年約16万円を返還する計画だった。

必要なのはお金の知識:

このようにお金の知識が不足すると奨学金などの返済に困ってしまうことは多いので、もしみなさんがこの先、お金で困りたくないと思うのであれば是非、この機会にお金についてもっと勉強してみてください。

金融や経済の知識というのは知れば知るほど、生活にゆとりをもたらしてくれると思いますよ。

以上、奨学金を延滞している人の50%近くが、お金を借りた時に『返済しなくてはいけないこと』を知らなかった統計データが存在する…という話題でした。

蛇足気味ですが音楽バンド キュウソネコカミの曲『貧困ビジネス』における歌詞みたいにならないよう、奨学金を借りた方は必死で勉学に励んで欲しいなと思います(歌詞はこちら)。

参考リンク:

お金に関する知識をこの機会に身に付けてみたい方は下記記事も参考に。

前述のようにお金の知識を増やすことが出来れば、支払い等で損をすることが減るので家計が徐々にラクになっていきますよ。

news.cardmics.com

*1:ニュースで紹介されている方は精神疾患になってしまったようで返済不能になってしまったようですが、その後、フリーター生活で収入がある程度は確保できているようなので、9万円のみしか返済できなかった理由にはならないように思います。

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