現在、某カフェで仕事をしているのですが、隣にいる男性二人がどうやら弁護士みたいで、過払い金返還バブルでいくら儲けたか…といった会話をしています。
過払金(かばらいきん)とは、文字通り払いすぎた金銭をいうが、特に、利息制限法の定める利率を超える高利の借入れをした借主が、法律上、借入金の返済は終わったのに返済を続けたため払いすぎた金銭をいう。
一昨年は6,000万儲けたとか1億円に届かなかったとか、そういった大きな金額が飛び交っている状況…。
おいおい、周りに丸聞こえな喫茶店でそんな会話をしちゃダメだよ…と思いつつ、やはりまだまだ過払い金返還請求に携わっている方の景気感はいいんだなーという状況を再確認させてもらいました。
そこで今回は、そんな過払い金返還バブルについて記事にしてみたいと思います(笑)。いかに弁護士や司法書士が、過払い金返還請求で儲けたのか…という点を、みなさんも読んでみてくださいね。
過払い金返還バブルまとめ:
大手法律事務所は過払い金で大儲け:
まずはかの有名なアディーレ法律事務所の売上が記載されていた記事を引用(こちらから引用)。2012年11月時点で、804億円ものお金を回収したようです。
テレビCMでも有名な弁護士法人アディーレ法律事務所がホームページ上で公表している過払い金回収実績は、'12年11月1日時点で15万4219件、804億1781万円。
仮に報酬金を回収額の20%とすると、同事務所はこの請求だけで160億円強を稼ぎ出したことになる。
もっとも、この額は、示談交渉により過払い金を回収した場合の一般的な報酬率を基に計算しているので、裁判になった場合等を踏まえると、報酬金はさらに膨れあがる。
そしてこれは珍しい事例でもなんでもありません。
前述のアディーレ法律事務所以外でも、中小法律事務所が荒稼ぎして1億円以上の報酬を得る弁護士が一気に増加した…という記事が週刊ダイヤモンドにもあったほどなので、ほんと、過払い金返還を請け負うことができれば確実に儲かる状況があったと言えそうです。
ピークには年間2,000億円が動いた:
年間の過払い金返還額については日本貸金業協会に掲載がありました(西日本新聞から引用。記事削除済)。
日本貸金業協会によると、全国の業者が返還した過払い金は08年度がピークで約1兆円、12年度は約5千億円だった。
仮に20%の手数料を弁護士や司法書士が受け取ったと仮定すると、それだけでピーク時には年間2,000億円、12年度であったとしても1,000億円が法曹界に流れたことになります(実際にはそれ以上のお金が動いていた可能性大)。
まぁとにかく凄い金額ですよね…。
関連したトラブルも多い:
それだけの金額が動くとなると、過払い金返還ビジネスにおけるトラブルもたくさん発生していました。
100万円以上の過払い金の返還があったにもかかわらず、返還金額の全てをフトコロに入れて『あなたの借金は0円になりました。』としてしまう悪質業者や、ヤミ金と結託した司法書士の話もニュースになっていましたね(下記は西日本新聞から)。
ヤミ業者から「債務者の名簿があるので、過払いビジネスをやらないか」と持ち掛けられた経験がある福岡市内の司法書士は「過払い金は、利息計算など専門的な知識が必要で、依頼者は損をしても気付きにくい。表面化した不正は氷山の一角だろう」と話した。
記事にもあるように依頼者は損をしても気付きにくい構造が過払い金返還請求にはあるので、ほんとうはもっとお金が戻ってきたのに…という事例は多いことでしょう。
弁護士にも問題提議している方は多い:
こういった過払い金返還バブルに群がる弁護士や司法書士が続出したことを受け、弁護士の中には問題に感じている方もいるようです。
過払い事件は、実質的にはサラ金のボロ儲け利益の上前をはねる事件であり、何よりも、数年前から相次いだサラ金利用者側に有利な最高裁判決のお陰で、この数年前から10件の内8~9件は、殆ど事務員任せで間に合い、弁護士は殆ど関与せずとも、多額の報酬が取れる、極めて効率的な、弁護士にとっておいしい事件となっていました。
そこで利益に目敏い弁護士は、事務員を大量に雇って、債務整理・過払い金事件専門として、お客様の顔を覚えられないほどの大量に事件を請け負い、莫大な利益を上げる事務所が東京を中心に全国各地に現れました。
特に三大宣伝広告事務所の一つは、TV放映等宣伝広告費用を年間数億円も投資し、年間売上百億円以上と豪語するほどになりました。当事務所もこれらの事務所に比べたら微々たるものですが、多重債務・過払い金事件では、結構恩恵を受けました。
濡れ手に粟のビジネス:
下記の弁護士さんも問題に感じているようです。確かに返還手続きをしただけで、場合によっては100万円以上もの収入になる過払い金返還請求は、弁護士にとって濡れ手に粟だったことでしょう。
私は,こんな簡単な作業で,過払い金の2割を超える報酬をとる弁護士が少なくないと聞くが,明らかにとりすぎだと思う。遠隔地の債務者から電話で依頼を受けて,金を取り返すだけの処理をして済ませているとすれば,なおさらである。
(中略)
平成19年から出資法の金利は20パーセントになり,今後新しく過払いが発生することはほぼなくなった。過払いバブルはまもなく終わる。
できるだけ長く続いて欲しいと公言してはばからない弁護士は,過払いを金儲けの手段としか考えていないといわれてもしかたがない。
個人的に激しく同意したい一文:
最後に面白いひとことがあったので引用します。消費者金融系の書籍を出版している方のブログです。
サラ金の20%以上の悪徳高金利を取り戻せ!といって、庶民の味方をするふりをして、弁護士や司法書士は20%以上の手数料をとる。
まぁ、至極ごもっともですね(汗)。
そろそろ過払い金バブルも終焉を迎えそう:
そんなこんなで旺盛を極めた過払い金返還請求バブルですが、2016年頃までには徐々に終わりを迎えそうな感じ。この返還自体の時効が契約終了から10年間なので、ぼちぼちといったところです。
実際、オリエントコーポレーション(オリコカード)の決算でも、過払い金返還請求件数の減少傾向が見えてきているくらい。
まぁさすがに2016年でピタリとすべてが収まるとは思いませんが、2017年~2018年にはテレビCMもなく、小さな弁護士事務所が残り物を探すかのようにラジオCMを続けていく形になっていくのかもしれませんね。
過払い金返還請求で儲けていた弁護士や司法書士は次にどこに向かうのか…今からチェックしていきたいなと思います。
以上、1億円以上の年収を得た弁護士が続出した、過払い金返還バブルをまとめてみる。テレビCMや電車広告では未だに宣伝が活況です…という話題でした。
参考リンク:
過払い金返還請求さえ収まってくれば、クレジットカード会社や消費者金融の株価はあがる可能性大。
今からその可能性に賭けたい…という方は、下記記事なども参考にしてみてくださいね。株式上場をしているクレジットカード関連企業がわかります。